それは・・とある昼下がり・・
ちょっと感じやすい霊媒が強いお嬢さんがいらっしゃいました。
いつもの事で・・何かを拾ってこられ・・ハイ・・お仕事です。
一心輝術で体をほぐし・・淨霊しやすい状態にします。
そして・・一番逃げ込みやすい場所に肘を当てて一気に光を送り込むと・・
それは出てきました
ケラケラ・・・カラカラと笑いながらこの体からは出て行かんと言い出します。
そのお嬢さんの口を使い「成りすまし」「居座り」を公言しました
「○○だよ・・○○だってば!」と言いながら少しずつつじつまの合わないことを口走り・・・
スタッフを「母」と呼び・・「放せ」「帰る」とダダをこねます
「何が欲しい・・ナニが食べたい?」と聞くと「髪の毛」と答えるそやつ・・
それまで私の後ろで鋭い眼光で構えていた「じんちゃんといんちゃん」は・・
「は~ん」「ふんっ」とばかりにそっぽを向いて・・
「あとはお前らだけで何とかしろ~」とばかりに消えてしまい・・
そこから爆笑淨霊が始まりました
ええ・・・そいつ・・「かまいたち」だったんです
其の名を呼ぶとそいつは開き直り・・・西の言葉をまくし立て
「人間になるんだ」「森が恋しい」と中々離れていきません
近所にいっぱいある理容室に行きなさいというと
「あいつは中身が腐っとる」「あの女は男癖が悪い」と私達を爆笑させ
祝詞は聞かぬ(耳がない)言霊も聞かぬ・・
そう・・効かないのではなく・・聞けないのです
このまま彼女の中に居て害が無ければよいのですが・・・
自然霊(あやかし)は人に取り憑くと・・様々な事をささやきます
力を持つものは相乗効果で一時的に強運に導く事もありますが・・・
大抵は取り憑いた人間のエネルギーを吸い取って不幸にしていくのです
ですから、やはりこれはそのままにはして置けません
聞く耳を持たぬ「へたれ小僧」を引き離すべく色々と講じてみましたが中々にしぶとく
それでは・・と水晶球の中に封じる策を巡らし誘導しても・・
本人は、何も知らないトンチンカンなので「いつ入ればいい?」などとまた笑わせる始末
業を煮やしたいんちゃんに背中をはたかれてコロンと球の中におさまりました
笑いすぎて・・お腹が痛くなりましたが・・何とか成功してお店に御鎮座ましましていました
そして・・今日・・とても好い所を見つけ・・其の場所に連れて行かれました
自分が望んだ・・腕のよい「髪きり」の居る所・・
きっとそこで良い仕事をするでしょう
「かまいたち」はイタチではありません・・
「風」の性を持つ精霊です
本来、山林や草原に居て吹く風とともに遊ぶ気のいい奴らです
昨今、自然破壊が進み、住まう場所を失い神社の森に隠れていたものが・・
偶さか波長の合う人が来たので入り込んでしまったという事なのです
入るのは簡単です・・出るにでられない・・・
そう・・行きはよいよい・・帰りは怖い・・・
怖いながらも通りゃんせ・・通りゃんせ・・なのです